哀愁のオレンジ色
びわがもう終わりの頃ですね。
びわを見たら思い出すのが、高校のびわの木。
高校の本館のグラウンド側辺りだったと思うのですが1本だけありました。
体育の時間やグラウンドに出た時に、そのびわの木を見ては
「蕾が出来てきたなぁ。」
「花が咲いたなぁ。」
「実が出来たなぁ。届くかなぁ。」
とずっと眺めてました。
そして、黄色くなり始めたころ
「食べられるのそろそろかな。」
と思うと
その翌日には、もう、ない。
実が全てなくなってるので、故意に誰かが収穫したものかと。
そのがっかりさと言ったら。
結局3年間、同じように見守り続け、1度も口にすることなく卒業しました。
採ったの、食べたの、誰?謎です。
6年前、中学3年だった長女が、私の母校に高校見学に行くことになり付き添いました。
保護者としての見学を装い、陰のミッションは、そのびわの木に会いにいくこと。
ワクワクして出かけました。
古い校舎はそのままでしたが、びわの木はもうありませんでした。
思い出が一つ無くなった気がして寂しくなったのですが、
売店のおばさんは私のことを覚えてくださっていて、驚きました。
「あぁあなた、あのコロッケパンの。」
当時からどれだけ食いしん坊だったんでしょう。
そのコロッケパンも、もう売店からなくなっていました。
同じクラスだった夫に
「この辺にびわの木あったよね?」
と聞いても覚えてなく。
10代男子って植栽になんか興味ないですよね。仕方ないかな。
そして高校を卒業してから30年経った今でも、びわを見ると思いだすのです。
「あー、あのびわが食べたかった。」
どんなに高級なびわを頂いても、あの日あの時のびわが、私には最高のびわなのかもしれません。
あぁ、哀愁のオレンジ色のびわ。
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