まつとしきかばいまかへりこむ
中学生の頃猫を飼ってました。
名前は「どん」
シャムの雑種で、雑種の特徴の靴下を履いた感じの足元のイケメン猫。
気性が荒く、すぐ家を飛び出しては、喧嘩して帰ってくるし、知らない家で違う名前で呼ばれてるし、なんとも自由な猫でした。
そんなどんが行方不明になったら、猫が帰ってくるおまじないをしてました。
百人一首にもある在原行平の歌
たち別れ いなばの山の 峰に生ふる
まつとしきかば 今帰りこむ
この歌の下の句を紙に書き、玄関に貼ると猫が帰ってくるというもの。
ホントかな?と思いましたが、不思議とちゃんと帰ってくるのです。
このおまじないは色んなバージョンがあるようで、内田百閒の「ノラや」にもこの歌のおまじないが出てくるとか。
猫もですが、家族も出かけたら、家にいる家人は、その無事を祈るというのは変わらないもの。
昔、杵築の武家屋敷に行ったときに、玄関の障子の紙に、松葉が漉き込まれているのを見て感動しました。
なんとも粋な祈りでしょう。
まだ20代でしたので、玄関に松を植えるのはカッコつけでおじさんぽくて嫌だなぁと思っていたのですが、その日から、玄関の松は家人の祈りだと思うようになりました。
また、お散歩で松を見ると優しい気持ちになれました。
行平の歌と障子の松のことから、結婚して家族が出来ると、玄関に松の盆栽を置きたいなぁ、と思うのですが、なかなかマンションに似合うものに出会えません。あっても枯らしてしまう始末。
先日ようやくいい盆栽に出会いました。
難を転ずるという南天もついてて、最強だわぁ。
コロナ禍でもありますし、この松が家族が無事に帰ってくるおまじないになりますように。
まつとしきかばいまかへりこむ
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