効率と非効率の間
今日、講座と講座の合間に、
門司麦酒煉瓦館に行ってきました。
入場料はなんと100円。JAF割引で80円。
これで維持管理できるのか、
不安になる金額です。
展示物は写真撮影自由という太っ腹。
大正から昭和初期の
工業製品や建物、ポスターが好きです。
一人でゆっくり見て回りました。
進化していくというのは、
無駄が無くなり、研ぎ澄まされ、
機能美が極まっていくもので、
それはそれで美しいと思うのですが、
この時代の何とも言えない空気感も
好きなのです。
今の時代、グローバルで大きな企業は
たくさんあります。
大きな金額を稼ぐ人も多くいます。
色々合理化を進め、その財を築いたのだと思います。
今の建築物は本当に無駄がなく、
機能的なのが、その象徴だと思います。
サクラビールだからって、
階段のところにサクラをあしらうなんて
非効率すぎて
今では予算がつかないでしょう。
しかしこれが存在し
毎日何度も目にすることで、
社員はサクラに愛着がわき、
自然と愛社精神が育まれたのでは、
と感じます。
社是や経営理念を
毎日ただ唱和するだけでは生まれない、
愛着がたしかにここにあったと気づきます。
また、芸術が博物館にあるものではなく、
日常にあるものだった
というこの時代に
私はあこがれるのかもしれません。
100均でもいいビールジョッキがありますが
織部で、ふた付きのジョッキなんて。
贅沢の極みです。
昔の人は、築いた財を
芸術や社会貢献に拠出していました。
経営の効率化だけではできないことです。
このポスターも、会社が依頼することで、
画家に仕事が生まれました。
今は、無料で
いろいろなものがあふれているので、
わざわざお金をかけて
新人を育てる事は無いでしょう。
芸術は、
効率と非効率の間に存在するのでは、
と私は思います。
あまり効率を求めすぎると、遊びがない。
芸術が存在するゆとりがない。
非効率すぎると、うるさい。
芸術ではないものも存在して、
大切なものが見えない。
印象派にカイユボットがいたように
ゴッホにタンギー爺さんがいたように
今、COVIDで縮こまった芸術には、
継続支援をしてくれる
パトロンが必要じゃないか。
昔の品々を見ながら、
そんなことをぼんやり思ったのでした。
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